花魁風胴抜曳振袖

裁縫を始めてから長着、振袖、引き振袖、羽織などいろいろな着物を仕立ててきた。その時自分が着てみたいものを縫ってきたのだが、数が増えると保管場所にも困り、新しく仕立てるのはしばらく見合わせることにした。すると暇を持て余し退屈するようになり、…

雪乃幻想(13) 衣桁責めその2

「早くせぬかッ」険しい声に気押しされたように雪乃は裾前に手をやるのでございます。あでやかな友禅のお引きずりの前をかき分けると赤い鹿の子の長襦袢、その下には真っ赤なお腰が…ぷっくり膨らんだそのお腰の裾前を割ると雪乃の男の徴がそそり立っていたの…

雪乃幻想(12) 衣桁責めその1

お母さまの留守を良いことに雪乃は寝化粧もほんのりと艶めかしいお寝間の装いに赤ちゃん人形をおんぶしてお義父さまのお閨へと向かったのでございます。こんな雪乃の姿を見てお義父さまはどんなお顔をなさるかしら・・・その時ある考えが雪乃の頭をよぎり、胸が…

雪乃幻想(11)

お義父さまのお子をが欲しい・・・そんな唐突な思いが雪乃に心に芽生えたのは先夜のお床入りの最中でございました。その夜雪乃は床上手の義父さまに焚きつけられた情炎に身を焦がし、女にされた悦びに身も世もないほどに酔い痴れたのでございます。ああ、雪…

綿入れ半纏

近年の暖冬傾向に反して今年の冬は寒さが厳しいようだ。とはいっても特別厳しいわけではなく、これで平年並みの寒さとのことだが。綿入れ着物好きの自分にとってこの寒さはむしろ有り難いことだ。昔からのしきたりで十月から五月までは袷をを着る時期で、三…

雪乃幻想(10)

師走も間近というその日、吹き荒れた冷たい木枯らしもようやく治まって辺りに夜のしじまが漂うころ、広大なお屋敷の奥まった一室で今宵も雪乃はお床入りのお支度に余念がないのでございました。白塗りの顔に真っ赤な紅が差され、柳のような眉が引かれるとお…

雪乃幻想(9)

「今宵のお寝間の装いはこれにしましょうね」そういいながらお母さまが着せてくれたのが赤い鹿の子の綿入れお引きずり振袖でございます。分厚い裾ふきが花魁の胴抜き衣装を彷彿とさせる二枚襲のお引きずりは雪乃のお気に入りなのでございます。 腹を痛めた息…

秋恋し

連日の暑さと湿気で好きな女着物を着ることもままならず、味気ない日々を過ごしている。 こんな時は以前撮った写真でも眺めながらしばし自らを慰めるしかない。 この着物は柔らかな綸子地に四季の花々を染め付けた友禅の振袖で、数年前に仕立てたものだ。 二…

雪乃幻想(8)

艶やかな引き振袖をまとい、優雅に舞うたおやかな娘。 しかし次の瞬間信じがたいことが・・・ 娘はやおらお引きずりの裾前を割ると、露わになったのは股間から屹立する逞しい肉棒。 娘は姿見に映った己の姿を一瞥し、満ち足りた笑みを浮かべる。 そして何事…

鹿の子の引き振袖二枚襲

前回取り上げた極太ふき引き振袖二枚重ねに文庫帯を締めてみた。 花魁が着るような艶めかしい衣裳に、武家娘や奥方の象徴である文庫帯の取り合わせは奇妙で違和感をぬぐえない。 でも常識の枠を超えたところに意外な新鮮さや面白みがあるものだ。 鬼平の奥方…

春遠からじ

弥生とはいえまだまだ寒さは続く。 その寒い時期だけの楽しみが重ね着だ。 いつの間にか着物一枚だけでは満足できなくなって二枚、三枚と重ねて着るのが習い性になってしまった。 雪国育ちで子供のころから綿入れに馴染んでいたせいか今でも綿入れに執着があ…

雪乃幻想(7)

雪乃は妄想の世界に棲む妖精だ。 歳は十代半ば色白で目元涼やかな男の子だ。幼いころ母が再婚し連れ子として義理の父親とともにその広大なお邸に住むことになる。 しかし義父にその美貌に目を付けられ、十三歳の時に同衾を迫られて白無垢の花嫁姿で初夜を迎…

雪乃幻想(6)

「今夜から雪夫の布団は私の部屋に敷きなさい」 お義父さまのその一言が全ての始まりでございました。 突然の言葉に怪訝な顔をしていたお母さまはやがてその意味を察すると、泣いてお義父さまに翻意を迫ったのですが無駄だったのです。 いつからか雪乃はお義…

雪乃幻想(5)

お義父さまのお手がついて側室として広大なお屋敷の奥まった一室に暮らすことになった雪乃は、無聊を慰めるため踊りのお稽古を始めたのでございます。 基本のお稽古が一通り済んだころ、いきなり大曲の藤娘など恐れ多いことですがお師匠さまに無理を言って稽…

雪乃幻想(4)

その日は春も間近というのに夕方から雪もちらつき、底冷えのする晩でございました。 こんな日は好きな重ね着をして絹のぬくもりにくるまれるのがこの上ない悦びなのでございます。 はじめにたっぷり真綿を含ませた真っ赤な綸子のお襦袢をまとい、その上に鹿…

雪乃幻想(3)

雪乃はお母さまにお仕置きされました。 後ろ手に縛められて柱に括りつけられたのです。 更に裳裾を露わにされながら太股に縄を打たれて鴨居に吊るされたのでございます。 こんな辱めを受けながら被虐の悦びに震え、雪乃の男の徴は赤い襦袢を押しのけて天に向…

雪乃幻想(2)

文庫結びが好きな雪乃はお母さまにお願いして特別大きな文庫に結んでもらいました。 白いうなじを露わににして胸高にきつく締められた幅広の帯・・・ その重さと拘束感に苦しさよりもむしろ心地よさを覚えるのは被虐への誘いなのでしょうか。 雪乃の心には以…

雪乃幻想

今宵も雪乃は高島田に髪を結い上げ、お引きずり振袖三枚襲をまとってお義父さまのお寝間へ召されました。 華やかな友禅の大夜着に二つ枕の艶めかしいお褥を前にして、やわらかな綸子の衣裳の奥に秘められた雪乃の股間はすでに怒張し、お菊はしっとりと潤い始…

マイブームは黒の掛け衿

ふとした思い付きで振袖に黒の掛け衿を掛けてみたら思いのほか具合いが良く気に入った。 それ以来いろいろな着物に試してみてはその変化を楽しんでいる。 今回はお引きずり振袖に黒ビロードの掛け衿をつけてみた。 色無地の引き振袖に黒の掛け衿など現実には…

黒の掛け衿

先日取り上げた対丈の綿入れ振袖に黒の掛け衿を掛けてみた。 時代劇でよく見かける町娘や商家の女将さんなどが着物の衿に掛けているものだ。着物の衿は汚れやすいのでそれを防ぐためのものだから、基本的に普段着に付けるもので、晴着やよそ行きには付けない…

綿入れお腰その2

綿入れお腰の心地よさに味をしめて邪な好奇心はエスカレートし、お引きずりの綿入れお腰を仕立ててみた。 お引きずりの着物が好きなので、お腰もお引きずりにしてみたらとあまり深かく考えなかったのだが、いざ出来上がってみるとあまり実用性はないと思った…

秋深しその2

前々回対丈仕立ての綿入れを取り上げたが、袖が短いと何となくもの足らない気がして同じような対丈で振袖も仕立てた。 いずれも裁縫を初めて間もなくの頃に仕立てたものだが、振袖の方は普段着としては袖が障りになって何かと不便であまり着る機会は多くなか…

綿入れお腰

袖口が擦り切れた古い襦袢があった。 薄桃色の本紋地に鹿の子をあしらった年代物で、もう廃棄してもいいのだが、生地が肌に吸い付くように滑らかで捨てるには惜しい気がする。 そこでお腰に仕立て直してはどうかと考えた。 裏は紅絹の羽二重にして綿入れ仕立…

秋深し

ここ、人里離れた森の山荘は今紅葉の真っ盛りだ。 今年は晩秋になっても冷え込みが弱く色づきはイマイチだが、澄んだ青空にくっきりと映える紅葉はこの時期ならではの魅力だ。 着物好きにとってうれしい季節の到来だ。この時期何よりもうれしいのは冷房なし…

引き振袖三枚襲その二

重ね着の場合色の薄いものから重ね、濃いものを一番上に着るのが収りがよいようだ。前回は桃色の上に真紅を重ねたが、あえて逆にして桃色を上にして着てみた。この三枚のお引きずりは全く同じ寸法に仕立ててあるので、どのような順に重ねても裄や丈などに不…

引き振袖三枚襲

引き振袖といえば嫁入り前の娘の盛装だ。昔は姫君や大店の娘などごく限られた女たちしか着ることができなかった。長い袂をひらひらさせて、裾を引きずっていたのでは仕事はおろか家事さえ思うに任せないだろう。箸より重いものを持つ必要のない女たちしか着…

春宵(11)

若君が奸臣城代一派を粛正し、正当な藩主としてその座についてから早や三年の月日がたったのでございます。もはや押しも押されもせぬ立派な藩主として家臣一同の信頼も厚く領民にも慕われているのでございました。そんな若君、いえお殿様もそろそろ奥方を迎…

裁縫は楽し

裁縫に目覚めたのは定年退職後だからそう遠い昔のことではない。動機は自分の着たい着物が無く、自ら縫うしかなかったからだ。それというのも自分が着たい着物は現代風のすっきりした着物を一部の隙もなくきっちりと着るのではなく、昔風の着物をゆったりと…

春宵(10)

若君さま、この度のこと誠におめでとうございます。この日のくるのを乳母は何度夢見たことでございましょう。こうして藩主の座につき威厳に満ちた若君のお姿に接し、乳母はこれに勝る喜びはございません。これは私としたことが申し訳ございません、もはや若…

春宵(9)

乳母の見立ては間違いない・・・昨今のご城代様を拝察するに乳母はそう確信を深めるのでございます。ご城代はひと頃の自信に満ちた言動は影をひそめ、お顔の色もさえず何やら憔悴のご様子にございます。仄聞するところによりますと、政務にも熱が入らず側近…