花魁風胴抜曳振袖

裁縫を始めてから長着、振袖、引き振袖、羽織などいろいろな着物を仕立ててきた。その時自分が着てみたいものを縫ってきたのだが、数が増えると保管場所にも困り、新しく仕立てるのはしばらく見合わせることにした。すると暇を持て余し退屈するようになり、今更ほかの趣味を始めるのも億劫で結局また裁縫を始めるようになってしまった。

裁縫は幅37センチ前後、長さ十数メートルの一枚の布を切ったり縫い合わせたりして着物に仕立てる作業で、やっている時は没頭して時間の経つのも忘れてしまう。

そんな訳で新しく仕立てたのがこの胴抜の引き振袖だ。

 

豪華な打掛をまとった花魁がその打掛を肩から滑り落とすと顕れるのが艶めかしい胴抜姿だ。

実物はまだ見たことがないが画像で見ると、身頃の腰から上と下が別布で、上が麻の葉紋様等の染めで下が豪華な織の生地になっていて艶冶な風情を醸している。二枚重ねの裾は分厚い綿が含められて圧倒的な存在感だ。

 

この通りに仕立てるとなると生地も手に入らないしなかなか難しいので、自分なりにアレンジして仕立ててみた。

本来なら袖は普通の着物と同じくらいの丈なのだが、より華やかにと振袖にし、袖と腰から下の身頃は重厚感を出すために綿入れ仕立てとした。

 


こんな艶めかしい着物はそのシーンが自ずと限られてくる。そう、愛しいお方に可愛がられるときの
艶姿・・・。

 

 

 

 

 

 

 

・・・この前あの方が見えたのが今月のはじめ頃、今日はもう晦日だから一か月近くのご無沙汰。

この歳になると若いころのようにせっかちではないが、しばらく会わないと何となく落ち着かない気分になる。

そんな折、この着物もようやく今日で仕上がりかな、などと思いつついつものように針を運んでいると、あの方から連絡があり今日これから来るとのこと…。

お寝間の衣裳として縫い始めたこの着物、縫いあがったその日が久方ぶりの逢瀬と重なるとは…幸先のよい偶然に心ときめいた。

この胴抜のお引きずりをまとって今宵あの方に抱かれる・・・。

嬉しさにはやる心を抑えながら最後の一針を縫い終えた。

そうだ、折角の仕立て下ろし、襦袢の半衿も替えておかなくては。

雪乃幻想(13) 衣桁責めその2

 

「早くせぬかッ」
険しい声に気押しされたように雪乃は裾前に手をやるのでございます。
あでやかな友禅のお引きずりの前をかき分けると赤い鹿の子の長襦袢、その下には真っ赤なお腰が…ぷっくり膨らんだそのお腰の裾前を割ると雪乃の男の徴がそそり立っていたのでございます。
ああ、お母さまの前でこのようなはしたない姿を…そんな思いに雪乃の肉棒は萎えるどころか被虐の悦びにますます硬直の度を増していくのでございました。
「ほう、艶やかな振袖の奥深くそのような物を秘めていたとはのう。それは何じゃ」
「……」
「言わぬか」
「雪乃の核(さね)にございます」
「なに、さねというか」
「はい…」
「妾をたばかるか」
お母さまはそう一喝すると、やおら胸高に差した懐剣袋の房紐を引くと懐剣に手をやったのでございます。
「お、お母さま、お許しください」
時鳥の凄惨な姿が頭をよぎった雪乃は慌ててそう口走ったのでございます。
お母さまは音もなく鞘を払うと順手に持った懐剣を雪乃の股間へ突き付けたのでございます。
「ヒ―ッ」
雪乃は悲鳴を上げたのでございました。
するとお母さまは刀身の腹を雪乃の硬直に当て
「このようなさねなどあるものではないわ。本当のことを申すのじゃ」
そう言いながら今度はぴたぴたと叩くのでございました。
「ああ、お赦しを…雪乃が悪うございました。本当なことを…」
雪乃は必死で詫びごとを口走ります。
しかし言葉とは裏腹な雪乃心…ああ、うれしい…お母さま…雪乃はお母さまの目の前で裾前を割って、硬直した雪乃のお○○○○を晒しているの…それを懐剣で嬲られて…夢のよう…お母さま,もっと、もっと雪乃を虐めて…
「その場しのぎの嘘をついたり、留守の間に良からぬことを企んだり、そなたは本当に性悪じゃ。今宵はその性根を叩き直してやるわ」
お母さまはそう言うと打掛を肩からさっと滑り落とすと、部屋の隅にある衣桁を重そうに引きずりながらお部屋の中ほどに据えたのでございました。
その衣桁は書院造の武家屋敷にふさわしく武骨で頑丈な造りでございました。
雪乃はその間に急いで赤ちゃんを背から下すとお部屋の端へ非難させたのでございます。
ねんねこ袢纏にくるまれて寝かされた赤ちゃん人形のあどけない顔を見ながら,雪乃は話しかけたのでございます。
「お母さまはこれからお祖母さまのお仕置きを受けるの。どんな辛い仕置きでもお母さまが悪いのだから仕方がないの…今夜は無理だけどいつか二人でお父さまのところへいきましょうね」
そんなことを呟きながら雪乃は己の恥ずかしい姿を赤ちゃんにみられないように、ねんねこ袢纏でその顔をすっぽりと覆ったのでございました。
「なにをぐずぐずしているのじゃ」
厳しいい叱声にびくっとして立ち上がった雪乃は引き寄せられるように衣桁に向うと、待ちかねたようにお母さまは雪乃の両の手を衣桁の桟に腰ひもで括り付けたのでございます。
続いて雪乃の細い両足首は下桟に縛り付けられたのでございました。
普段はきらびやかな衣裳が掛けられるはずの衣桁に、艶やかなお引きずり振袖姿の雪乃が大の字に括り付けられているのでございました。
更にお引きずりの長い裾の褄先は左右に大きく開かれて、その先は縦桟に結ばれたのでございました。
すると顕になった紅い鹿の子のお襦袢にはすでに大きな膨らみが…一時小康を保っていた雪乃の男は再びむくりとその鎌首をもたげ始めていたのでございます。
目敏くその膨らみを見付けたお母さまは懐剣の先で小突きながら、
「この膨らみは何じゃ」
「……」
言葉で嬲られたうえに小突かれ弄られた雪乃の秘所は熱き血潮が凝結し、真っ赤な薄絹の中でもがいているのでございました。
するとお母さまは懐剣の先でその薄絹を器用に払い除けたのでございます。
ああ、何という恥ずかしい姿…薄化粧に艶めかしいお床入り姿に装った雪乃は衣桁に大の字に括り付けられたうえ、裾前を割られて股間からその姿にあるまじき巨根を垂直に突き立てているのでございました。
艶めかしい練り絹を押しのけるようにしてそそり立つ肉塊の先には早くも透き通った粘汁が滲み出し、雫が一筋糸を引いているのでございました。
「二つ枕に三つ重ねのはずが、衣桁責めの晒し者とは哀れなことじゃ。少しは身に染みたか」
「ああ、お母さま、雪乃が浅はかでございました。お赦しを…」
そう詫びる言葉とは裏腹に雪乃の心は湧き上がる被虐の悦びに溢れていたのでございます。
そんな心のうちをおくびにも出さず、
「ああ、苦しい…お母さま早くここから下して…雪乃が悪うございました。もう二度と…」
「少しはこたえたようじゃの。しかし妾ををいつもと同じと思ったら大間違いじゃ。今宵の母を百合の方の化身と思うがよい」
その言葉を聞いた雪乃は震え上がったのでございます。
時鳥のように嬲り殺しに…まさか…千々に乱れる雪乃の心でございました。
しかしお母さまは懐剣を鞘に納めると、手元の箱から異形のものを取り出したのでございます。
始めて目にするそれは荒縄を丸めたたわしのように見え、紐でできたこけしのようにも見えたのでございます。
「そなたの邪まで淫らな心はきっとこの肥後ずいきが浄めてくれるでしょう」
お母さまはそう言うと、たっぷり水を含んだ肥後ずいきを取り上げきゅっと一絞りして衣桁の後に回ったのでございます。
雪乃は何が始まるのか怪訝に思っているといきなりお引きずりの裾がまくられ、あっという間に雪乃の双丘が露わにされたのでございます。
その双丘に挟まれた雪乃の菊門はすでに熟れた果肉のように柔らかく、甘い蜜をたたえているのでございました。
「お母さま、それだけはお許しを…」
雪乃はお母さまの意図を察してそう懇願したのですが、お母さまは容赦なく肥後ずいきの先を雪乃の菊座ヘ当てがったのでございます。
すると湿り気のある柔らかな異形はあっという間に菊門を侵し、ずぶずぶと雪乃の中へ…。
お母さまの息子に生まれた雪乃は今、娘のように艶やかに装われて、菊門を異形の物体に犯されながらまるで着物のように衣桁に架けられているのでございました。
そんな雪乃の姿に目を当てていたお母さまは何を思ったか、部屋の端へ寝かせた赤ちゃん人形を取り上げたのでございます。
「そなたの好きな人形に己のあさましい姿を見てもらうのじゃ」
そう言いながら赤ちゃんを雪乃の目の前に座らせたのでございました。
「ああ、お母さま、やめて」
思わず雪乃は叫んだのでございます。
今の雪乃の姿を赤ちゃんに見られることは雪乃にとって身を切られより辛いことでございました。
さりとて四肢を縛められている雪乃は身を隠すことも能わず、
「お母さま、お願い…お人形を隠して…」
そう懇願する雪乃を尻目に、お母さまは傍らに脱ぎ捨てた打掛を手に取ると鮮やかな所作で身に纏ったのでございます。
「しばらくそうしてわが身を省みるのじゃ」
お母さまはそう一言いい残し、打掛の裾をさっと翻すと見栄を切るように襟を扱いたのでございます。
それからおもむろに打掛の長い裾を引きずりながらほの暗い奥へと姿を消したのでございます。
雪乃は己の身の上も忘れ、お母さまの役者のように美しいい所作にただ見とれるばかりでございました

異変に気が付いたのはそれからほんのしばらく後のことでございます。
「はぁ~…」
思わず雪乃の口から吐息が漏れたのでございます。
熱い…肥後ずいきを咥えたお菊がかすかな痒みを伴いながら熱を帯びているのでございました。それは徐々に増幅しながら得も言われぬ心地良さへと…
堪らず不自由な態勢で腰をくねらせると、着重ねた練り絹が肥後ずいきを程よく刺激し、雪乃は悶え続けたのでございます。
心地よさに身を委ねながら薄目を開けると雪乃の目に入ったのは目の前に座った赤ちゃんの姿でございます。
「あ、綾乃ちゃん、お母さまを見ないで」
浅ましい姿を見られる恥ずかしさに必死でそう叫んだのでございまが、お人形にそんな思いが伝わるはずもなく、つぶらな瞳を雪乃に向け続けているのでございました。

雪乃は肥後ずいきのもたらす狂おしいほどの快楽にその身を委ねながら、身悶えし、嬌声を上げ、歓喜の涙を流したのでございます。
終わることのない肛淫の悦び…。
やがてお引きずりの裾前を割って屹立した雪乃の男の先から白濁が溢れ、たらたらと流れ始めたのでございます。
栗花の香を漂わせながらそれは止めどなく流れ続けるのでございました。

雪乃幻想(12) 衣桁責めその1

お母さまの留守を良いことに雪乃は寝化粧もほんのりと艶めかしいお寝間の装いに赤ちゃん人形をおんぶしてお義父さまのお閨へと向かったのでございます。
こんな雪乃の姿を見てお義父さまはどんなお顔をなさるかしら・・・
その時ある考えが雪乃の頭をよぎり、胸が高鳴ったのでございます。
まさかそれは無理・・・雪乃はすぐにその考えを打ち消します。
・・・しかしそれはすぐに頭をもたげ、思いはより強くなってゆくのでございました。
このままの姿でお褥に召される雪乃・・・赤ちゃんをおんぶしたままお義父さまに可愛がられる雪乃・・・ああ何と淫らで刺激的なこと・・・。
そんな思いに駆られながらお閨へと続く薄暗い廊下の角を曲がった途端、雪乃は凍りついたのでございます。
「お母さま・・・」
お出かけのはずのお母さまが目の前に・・・。
「その姿は何としたことじゃ」
一瞬驚いた様子のお母さまはそう厳しく咎めたのでございました。
なぜお母さまがここに・・・思いもかけない事の成り行きに雪乃は声を上げることもかなわず、へなへなとその場に座り込んでしまったのでございます。
その姿を冷ややかに見降ろしていたお母さまは、やおら荒々しく雪乃の手を掴むと恐ろしいほど力でその手を引いたのでございます。
痛いッという間もなく雪乃はそのままお母さまにズルズルと引き摺られながら奥の間へと引き立てられたのでございます。

今頃はお義父さまのお褥で目くるめく時を過ごしているはずなのに・・・奥の間に引き据えられた雪乃は薄暗い行燈の灯を見つめながら臍を噛む思いでございました。

やがて着替えを済ませて戻ってきたお母さまの姿を見た雪乃は眼を見張ったのでございます。
何とお母さまはお引きずりに打掛をまとって御殿の上臈のようなお姿で、幅広の帯を文庫に結んだ大きな帯山が艶めかしく、胸に手挟んだ金襴の懐剣袋がそこはかとない威厳を醸しているのでございました。

雪乃はとっさに思い出したのは以前芝居で観た御所五郎蔵時鳥殺しの狂言でございます。
お殿様の正室の母百合の方は、側室時鳥が殿様の寵愛を一身に集めるのに心穏やかならず、正室の娘可愛さのあまり時鳥を散々苛め抜き、ついには嬲り殺しにしてしまうのでございます。
その凄惨な場面が鮮やかに蘇り、お母さまのお姿が百合の方に重なったのでございます。お母さまが百合の方ならさしずめ雪乃は時鳥・・・。
普段はめったにお召にならないお母さまの打掛姿は威厳に満ちてお芝居の百合の方を彷彿とさせ、雪乃は思わず身震いがしたのでござました。
お母さまは分厚い打掛の裾をさっと翻すと雪乃の前に立ち、ねんねこ袢纏の黒い襟を掴むと、
「このような格好で旦那さまのお寝間へ向かうとは不埒千番」
と一喝したのでございます。
「お、お赦しを・・・」
ひたすら赦しを乞うしかない雪乃でございました。
「妾の留守をいいことに身の程知らずな」
そう言いながら掴んだ襟をなおもぎゅうぎゅうと締め上げたのでございます。
「あ、赤ちゃんが・・・」
思わず雪乃はそう言うと、
「なに、赤ちゃんとな。そなたは赤子の母親か」
「・・・・・・」
「どうなのじゃ」
「はい・・・」
「ならばその証を見せてみよ」
「証とは・・・」
「裾前を割ってその証を示すのじゃ」
「そ、そのような、お赦しください・・・」
そんな問答を繰り返すうち被虐の悦びを刺激されて雪乃の股間は見る見るうちにその形相を変えていくのでございました。

雪乃幻想(11)

お義父さまのお子をが欲しい・・・そんな唐突な思いが雪乃に心に芽生えたのは先夜のお床入りの最中でございました。
その夜雪乃は床上手の義父さまに焚きつけられた情炎に身を焦がし、女にされた悦びに身も世もないほどに酔い痴れたのでございます。
ああ、雪乃は今、女…うれしい…。でも雪乃はもっと女になりたい…それにはお義父さまのお種を受けて身籠ること…そして義父さまのお子を産むこと…
お褥での睦言ならいざ知らず、あり得ない妄想とわかっていてもその思いは雪乃を捉え、少しずつ心の中で膨らんでいくのでございました。
お義父さまのお種を宿した雪乃はやがて十月十日の月満ちて玉のようなお子を授かる…この妄想に雪乃は疼くような心の昂ぶりを覚えるのでございました。

「お母さま、雪乃は赤ちゃんのお人形が欲しいの…」
ある日とうとう雪乃はお母さまにそうねだったのでございます。
お人形でもよいから赤ちゃんを抱いてみたい・・・お子を産むことが叶わぬ夢と知りながら、せめてその真似事でもして心の慰めにしたいと思ったのでございます。

日を経ずして老舗の人形店から届いたのはおかっぱ頭に振袖をまとった等身大の赤ちゃん人形でございました。
一目で気に入った雪乃はそれからは着物を着せ替えたり、寝かしつけたりとなにくれと世話を焼くのが楽しみになったのでございます。
女の子たちが興ずるお人形遊びを羨まし気に眺めていた子供のころ、今になってその機会が訪れるとはなんと皮肉なものでございましょう。
とはいえ、あどけない顔のお人形と触れていると愛しさが湧いて新鮮な喜びに包まれるのでございました。

「お母さま、ねんねこ袢纏はないかしら…」
抱いたり寝かしつけたりでは飽き足らず、その日雪乃はお引きずりのお部屋着姿でお人形をおんぶしていたのでございます。
雪乃の姿を一瞥したお母さまは、しようのない子ね、といった顔をすると
一旦奥へ引っ込み、綿入れねんねこを手に戻ると、
「あなたはこのねんねこにくるまれて私の背中でよく眠ったものよ」
そう言いながらお母さまはねんねこ袢纏を背中に着せかけてくれたのでございます。
「あなたは妙な子でね、むずかっていてもこのねんねこ袢纏を着ると機嫌がよくなったの」
そういえばこの色柄どこかで見覚えがあるような・・・遠い昔の記憶がかすかな樟脳の香りを伴って懐かしく蘇るのでございました。
幼いころ母におんぶされてくるまれたねんねこ袢纏。今自分が赤ちゃんを背負いながらその同じねんねこ袢纏をまとっている…ああ、こんなことがあるのかしら…夢にも思わなかったことが現実になっているのでございました。
ふんわりと綿を含んだねんねこ袢纏…その懐かしさ、そのやさしさ…
黒いビロードの襟から覗く赤ちゃんのあどけない顔…雪乃は今この子のお母さま…ああ、うれしい…。

夜の帳も降りて辺りにしじまの漂う頃は、雪乃がかりそめの母から妖艶な女へと変わる時でございます。
今宵お母さまは所用によりお出かけでお帰りは夜遅くなりそう。いつもはお母さまにお任せのお閨のお衣裳も今宵は雪乃一人でお着付けしないといけないのでございます。
いつもの白塗りのお化粧の代わりに頬紅をサッと一掃き、口紅を一差し。
紅い鹿の子のお襦袢はいつもより衣紋を大きく抜いて伊達締めをきりっと。自分で着つけると好きなだけ衣紋が抜けるのがうれしい雪乃なのでございます。
薄紫地に一面の桜吹雪をあしらったお引きずり振袖をまとうと二枚重ねの練り絹がしっとりと身体になじむのでございます。
硬い帯は避けて、鴇色繻子の芯抜き帯を前結びにしたのでございます。
一息ついて姿見に見入ると、思いのほか滞りなくお閨のお支度が出来て安どの面持ちの雪乃の姿があったのでございます。

「綾乃ちゃん」
雪乃はお人形にそう話しかけたのでございます。
綾乃はお母さまのお名前。雪乃はお人形をそう呼ぶことにしたのでございます。
寝化粧もほんのり、艶めかしいお寝間の衣裳をまとった雪乃は小さな布団に綾乃を寝かしつけると
「これからお母さまはお父さまのお寝間へ召されて可愛がられてきまますからね。しばらくおとなしくしているのですよ」
そう言いながらふとお人形の顔を見るとなぜかその顔がとても寂しそうに見えたのでございます。
「さあ、そんな顔をしないで…ちょっとの間辛抱してね」
そう言って立ち上がろうとしたその時、雪乃ははっとして身をすくめたのでございます。確かに今聞こえたのは赤ちゃんの泣き声…。
そんなはずはと気を取り直して立ち上がった刹那、またしてもどこからともなく微かな泣き声が…。
気のせいとわかっていても、臆病者の雪乃はそのままやり過ごすことができなかったのでございます。
「お母さまが悪かったわ。綾乃ちゃんは一人になりたくなかったのね。一緒にお父さまのところへ行きましょうね」

あでやかな友禅のお引きずり振袖に緞子の柔らか帯を前結びにした雪乃は、赤ちゃん人形をおんぶするとねんねこ袢纏を羽織ったのでございます。
こんな姿でお義父さまのお寝間へ…お母さまの留守を良いことに雪乃はとんでもない企てを実行しようとしているのでございました。
「お母さま、淫らで恥知らずな雪乃をお赦しください・・・」
雪乃はそう心の中で詫びながらお義父さまのお閨へと歩を進めたのでございます。

綿入れ半纏

近年の暖冬傾向に反して今年の冬は寒さが厳しいようだ。とはいっても特別厳しいわけではなく、これで平年並みの寒さとのことだが。
綿入れ着物好きの自分にとってこの寒さはむしろ有り難いことだ。
昔からのしきたりで十月から五月までは袷をを着る時期で、三月までは綿入れを着ても良いらしい。
四月になると綿を抜いて普通の袷として着た。そのことから四月一日と書いて”わたぬき”と読ませる苗字の人がいるそうだ。
綿入れは三月までということは決まりのようだが、着始めは何月からかははっきりしていないようで、その辺は臨機応変ということか。
暖房の行き渡った現代では綿入れ着物など無用の長物で、綿入れ半纏にわずかにその形骸をとどめているに過ぎない。

ただ市販されている袢纏は例外なく筒袖か女物は船底袖で着物の上に羽織ることはできない。以前は袂袖のものも結構あったように思うが、今はシャツやジャージ等の上に羽織るのが前提だから袂袖は邪魔なのだ。
自分の着物はほとんど振袖だから袂袖でもだめで、必然的に広袖ということになってしまう。
広袖なら振袖の長い袂を下へ垂らすことができるので好都合という訳だ。
広袖の半纏は裁縫を始めたころ何枚か縫ったが、古くなったし好みも変わってきたのでまた新しく仕立ててみた。
今度はボリュームがキーポイントで綿も多めに袖や身丈も大きめにゆったりと仕上げた。

最初に仕立てた袢纏で総疋田の振袖から仕立て直したものだ。絞りの着物は薄い絹布の裏打ちがしてあることもあって着ると暖かいわれるが、綿入れにするとかなりのボリュームになる。

 

これもやや臙脂がかった総絞りの振袖から直したものだ。

手間のかかる総絞りの振袖など新品なら数十万円は下らないはずだが、それが今は中古とはいえ新品同様のものが百分の一以下の値段で売られているのだから着物衰退の象徴のようだ。

 

江戸小紋風に染め上げた京友禅小紋。ずっと前に手に入れた反物だが、手つかずのままでもったいないので袢纏に仕立てた。地味目の縮緬だが手触りがとても滑らかで袖を通すとしっとりと身体になじむ。

 

これはつい最近縫い上がったもので、蝶と花をあしらった華やかな友禅の小紋だ。

お引きずりにはやはり文庫結びの帯が相応しいが、面倒なので最近はもっぱら前結びでお茶を濁している。

それに文庫帯に半纏はちょっと不釣り合いな気がする。

 

 

袢纏ばかり何枚も仕立てても仕方ないのだが、縫っているときは楽しくてもう一枚…と気が付けば4枚も縫っていた。

裁縫は暇つぶしには恰好で、停年になってかなり経つがいままで退屈でやることがないなどということはほとんどなかった。

それに指先を使うし、頭もちょと使うから呆け防止にも多少役に立つかもしれない。

 

 

おまけの画像。

 

 

 

雪乃幻想(10)

師走も間近というその日、吹き荒れた冷たい木枯らしもようやく治まって辺りに夜のしじまが漂うころ、広大なお屋敷の奥まった一室で今宵も雪乃はお床入りのお支度に余念がないのでございました。
白塗りの顔に真っ赤な紅が差され、柳のような眉が引かれるとお人形なようなお顔が出来上がりました。
縫取りの豪奢な半衿の緋のお襦袢の上には薄紫綸子のお引きずり振袖が着せられました。
「今宵は堅苦しいお文庫ではなくてこの帯にしましょうね」
お母さまはそう言いながら緞子の柔らか帯を前結びにしてくれたのでございました。

「今夜は大層冷えるからこれを羽織っていったら…」
そう言ってお母さまが着せてくれたのが綿入れお半纏でございます。


お母さまの娘時代の総疋田のお振袖を雪乃のために綿入れに仕立て直してくれたものでございます。
なめらかな綸子のお引きずりの上に羽織ったお袢纏のぬくもりがお母さまのやさしさにも似て雪乃は心安らぐのでございました。
「前帯と綿入れ半纏がよく合ってなかなか可愛いお寝間入り姿ね。今宵もお義父さまにたんと可愛がってもらうのですよ。でも、お褥に上がる前にはお袢纏は脱ぎなさいね」

そんなお母さまの声を背に、藤色綸子二枚重ねのお引きずりに綿入れお袢纏を重ねたお寝間の装いで、雪乃はお閨へと向かったのでございます。

 

それから小半時余りして…
雪乃はお義父さまのお褥に召され、女の悦びに浸って目くるめく時を迎えていたのでございます。
ああ、お母さまお許しください、雪乃はお母さまのお言いつけに背いておはんてん姿のままお褥へ…そして今お義父さまに抱かれて…はしたない雪乃をお赦しください。
雪乃がお袢纏を脱ごうしたらお義父さまがそのままでいいと無理やり…。
でも、うれしい…雪乃はお母さまのお振袖の半纏をまとってお義父さまに嫁いでいるの…雪乃は今お義父さまもの…
逞しいお義父さまが雪乃の中へ…雪乃の柔らかい襞はお義父さまをやさしく包み込んで…。

ああ、お義父さまが雪乃の中へ入ってくる…熱く逞しいお義父さまがずんずんと奥へ

圧倒的な力強さに雪乃は抗うすべもなくひたすら恭順してお義父さまをお迎えするのでございます。

熱くたぎったお義父さまが雪乃を奥深く貫いて…満ち足りた感覚がじんわりと広がると、やがて女にされた悦びがふつふつと湧き上がるのでございます。

ああ、雪乃はいま女…お義父さまの女…うれしい…。
二人は今しっかりと一つに繋がって、雪乃はお義父さま、お義父さまは雪乃…。

雪乃の奥深く侵したお義父さまは一旦返すと見せかけて再び奥深くへと…
「あああ~ッ」
とろけるような甘美な疼きが背筋を貫くのでございました。

 

・・・お母さま、雪乃の姿を見て…雪乃は今お母さまの旦那さまに抱かれて女にされているの…

開校以来の秀才と謳われ期待を一身に集めたお母さま自慢の息子は…赤い鹿の子のお寝間の衣裳をまとって義理の父親のお褥に召され…狂おしいほどの女の悦びにその身を焦がして…お母さま、これが雪乃の今の姿・・・

 

それからしばらくして雪乃はその夜幾度目かの絶頂へ昇り詰め、忘我の境地を彷徨っておりました。
「ああ~っ…いいっ…お義父さま…いい…いい…うれしい…雪乃は…お義父さまの…お義父さまの女…もっと女に…もっと女にして…ハア~ッ…ヒィ~…ヒイ~…ヒイ~…」
お義父さまの底知れぬ秘技に啼かされて、泣かされ続ける雪乃なのでございました。
「ああ、お義父さま…雪乃は…雪乃はお義父さまの…お義父さまのお子が…お子が欲しゅうございます…
ハア~ッ…ヒィ~…
雪乃は…お義父さまの子を産みます…ああ…うれしい…雪乃はお義父さまの子を産むの…
ああ~ッお義父さまッ…お種を、雪乃にお義父さまのお種を…ああ~、お義父さま、雪乃を…雪乃を孕まて・・・」
雪乃はあらぬ妄想を口走ることで更なる高みへと昇りつめ、狂乱の限りを尽くして泣き叫び、それから突然白目を剥いて全身を小刻みに震わせたかと思うと、やがてぐったりとなって人事不省に陥ったのでございます。

 

 

 

 

 

雪乃幻想(9)

「今宵のお寝間の装いはこれにしましょうね」
そういいながらお母さまが着せてくれたのが赤い鹿の子の綿入れお引きずり振袖でございます。
分厚い裾ふきが花魁の胴抜き衣装を彷彿とさせる二枚襲のお引きずりは雪乃のお気に入りなのでございます。

腹を痛めた息子に寝化粧を施し、艶めかしいお寝間衣装を着せて我が夫の閨へ送り出すお母さまの気持ちを思うと心が痛む雪乃ですが、滑らかな練り絹を二枚、三枚と着重ねていくとその心地よさに雪乃の股間は早くも蠢き始めるのでございます。
赤いお腰に緋の襦袢をまとい、あでやかなお寝間の装いでお義父さまのお褥へ召されて枕を交わす夜を重ねるうち、そのお支度にかかるだけで胸がときめき、股間の男の徴は力強く脈打つように・・・いつしか雪乃の身体はそんな淫らで恥ずかしい性癖へと変わっていったのでございます。
しかしそのかすかな変化に目ざとく気付いたお母さまは
「なんじゃ、それは。振袖をまとった娘にあるまじき股間の膨らみ。裾前を割ってこの母によく見せるのじゃ」
それまでの穏やかな口調から一転、凄みのある怒声が浴びせられたのでございます。
「お赦しを・・・」
そう謝るしかない雪乃ですが、それで済むはずはございません。
お母さまの刺すような視線を浴びながら雪乃は二枚重ねのお振袖の裾前を割ります。続いて長じゅばん、最後に赤いお腰をめくると、反り返った雪乃の肉棒が露わになったのでございます。
「ほお、あでやかな振袖の裳裾の内にそのような物を秘めていたとはのう。しかもそのようにいきり立って・・・まだお床入りもせぬうちからそのような有様はなんとしたことじゃ」
はしたない心の内を見透かされた雪乃は一言もなくただ恥じ入って俯くばかりでございます。
「ええい、何とか言わぬか」
「・・・」
「強情な」

そう一言いうが早いかお母さまは腰ひもで雪乃を後ろ手に縛り上げ、床の間まで引き立てると細引きで床柱にぐるぐる巻きに縛り付けられたのでございます。
「お母さま、雪乃が悪うございました。お赦しを・・・」
そう懇願する雪乃のでございますが、露わにされた秘部は萎えるどころかますます硬直の度を増し、天に向かってそそり立っているのでございました。
そんな雪乃の嬌態を冷ややかに見つめていたお母さまは帯に手挟んだ懐剣袋の房紐をスルスルと解いて懐剣を鞘ごと引き抜くと、おもむろに雪乃の硬直をピタピタと小突きながら、
「これはなんじゃ」
「・・・」
「早く言わぬか」
「雪乃のお〇〇〇〇でございます・・・」
恥ずかしさを堪えながらやっとそう口にしたのでございます。

「旦那さまのお褥でもそのように大きゆうなるのか」
「そ、そのようなこと・・・」
「ええい、どうなのじゃ」
「・・・はい」

「旦那さまは何と言われる」

「愛しいと・・・」

「それから」

「撫でたり扱いたり」

「それだけか」
「お口に含まれたり」
「なに、お口に・・・そ、それからどうした」
こんな問答をしているうちに雪乃は恥ずかしさも遠のき、
「吸われて、舌でなぶられたり,甘噛みされたり・・・」
「ええい、もう良いわ。このような無粋なものはこうしてくれるわ」
お母さまはそう言うとやおら懐剣を帯に直差しに納めると、代わりに懐剣袋を帯から引き抜き、なんとそれを雪乃の硬直に被せ始めたのでございます。
「ああっ」
思わぬ展開に雪乃は驚きの声を上げます。
懐剣袋の柔らかな羽二重の裏地が充血した皮膚を擦りながらぐいぐいと根元へ・・・
「ああ~ツ」
思いもしなかった甘美な刺激に雪乃は思わず嬌声を挙げ、身悶えたのでございます。
「ああ、お母さま、このようなこと、お赦しを・・・」
そう言いながらも、振袖をまとって己の怒張に懐剣袋を被せられるという異様な姿に、雪乃の心は被虐の悦びに溢れているのでございました。
やがて肉棒は根元まですっぽりと懐剣袋に覆われたのでございます。
ああ、雪乃の分身がきらびやかな懐剣袋に覆われて・・・雪乃は不思議な充足感に満たされたのでございました。
しかしお仕置きは更に続くのでございました。
お母さまは房紐をシュシュっと扱くとそれをしっかりと巻き付け始めたのでございます。
華やかな懐剣袋に納められた雪乃の分身がお母さまの手で長い房紐に巻かれてゆく・・・根元から先へ向かって緩みなくキリキリと・・・
それはお仕置きとは程遠く、むしろ至福のひと時というべきものでございました。ああ、この瞬間が永遠に・・・
「さあ、己の淫らな姿をその目でとくと確かめるがよい」
恍惚の境を彷徨っていた雪乃はそういうお母さまの声にふと我に返ったのでございます。

「いやっ」

思わず雪乃はそう叫ぶと目をそむけたのでございます。

いつの間にか目の前に姿見が置かれ、雪乃の恥ずかしい姿が目前に迫っていたのでございます。

怖いもの見たさに、恐る恐る再び姿見に目を移した刹那、雪乃の体の芯から疼くような快感がほとばしったのでございました。
ああ、なんということでございましょう。あでやかな引き振袖をまとって床柱に括り付けられながら、股間からきらびやかな懐剣袋に収められた肉棒を突き出している己の姿・・・

その異様な姿を目にしながら、懐剣袋の中の雪乃の男はますます硬直の度を増し、熱い血潮が脈打っていくのでございました。

うれしい・・・お母さま、雪乃は今幸せでございす。

「どうじゃ。少しは懲りたか」
房紐の先をきれいな花結びにするとお母さまはそう尋ねたのでございました。
「雪乃はうれしゅうございます」
「なに、うれしいと」
「雪乃のお〇〇〇〇がきれいな懐剣袋に納められて房紐でグルグル巻かれて、うれしい・・・」
「少しは慎むと思えば、お仕置きされてうれしいとは、困った淫乱娘じゃ。ええい、もう勝手にするがよい」
お母さまは呆れたようにそう言い放ち床柱に括り付けた細引きの縛めを解くと、雪乃をその場に残して奥へと引っ込んでしまったのでございます。
勝手にしろと言われても両手は後で縛められたまま。この姿で雪乃が行けるところはお義父さま所をおいて他にないのでございます。
この雪乃の姿を見てお義父さまはなんと仰るでしょう。
「また奥に悪戯をされたのか」
そう言って笑うお義父さまの姿が目に浮かぶのでございました。
お義父さま・・・雪乃は急にお義父さまが恋しくなったのでございます。
お母さまに折檻された後はなぜかお義父さまに抱かれて存分に女の悦びに悶えたい・・・そう思う雪乃なのでございました。
懐剣袋の中の雪乃の分身が再び力強く蘇るのを感じながら、雪乃はお義父さまのお寝間へと急ぎ歩を進めたのでございます。