雪乃幻想(9)

「今宵のお寝間の装いはこれにしましょうね」
そういいながらお母さまが着せてくれたのが赤い鹿の子の綿入れお引きずり振袖でございます。
分厚い裾ふきが花魁の胴抜き衣装を彷彿とさせる二枚襲のお引きずりは雪乃のお気に入りなのでございます。

腹を痛めた息子に寝化粧を施し、艶めかしいお寝間衣装を着せて我が夫の閨へ送り出すお母さまの気持ちを思うと心が痛む雪乃ですが、滑らかな練り絹を二枚、三枚と着重ねていくとその心地よさに雪乃の股間は早くも蠢き始めるのでございます。
赤いお腰に緋の襦袢をまとい、あでやかなお寝間の装いでお義父さまのお褥へ召されて枕を交わす夜を重ねるうち、そのお支度にかかるだけで胸がときめき、股間の男の徴は力強く脈打つように・・・いつしか雪乃の身体はそんな淫らで恥ずかしい性癖へと変わっていったのでございます。
しかしそのかすかな変化に目ざとく気付いたお母さまは
「なんじゃ、それは。振袖をまとった娘にあるまじき股間の膨らみ。裾前を割ってこの母によく見せるのじゃ」
それまでの穏やかな口調から一転、凄みのある怒声が浴びせられたのでございます。
「お赦しを・・・」
そう謝るしかない雪乃ですが、それで済むはずはございません。
お母さまの刺すような視線を浴びながら雪乃は二枚重ねのお振袖の裾前を割ります。続いて長じゅばん、最後に赤いお腰をめくると、反り返った雪乃の肉棒が露わになったのでございます。
「ほお、あでやかな振袖の裳裾の内にそのような物を秘めていたとはのう。しかもそのようにいきり立って・・・まだお床入りもせぬうちからそのような有様はなんとしたことじゃ」
はしたない心の内を見透かされた雪乃は一言もなくただ恥じ入って俯くばかりでございます。
「ええい、何とか言わぬか」
「・・・」
「強情な」

そう一言いうが早いかお母さまは腰ひもで雪乃を後ろ手に縛り上げ、床の間まで引き立てると細引きで床柱にぐるぐる巻きに縛り付けられたのでございます。
「お母さま、雪乃が悪うございました。お赦しを・・・」
そう懇願する雪乃のでございますが、露わにされた秘部は萎えるどころかますます硬直の度を増し、天に向かってそそり立っているのでございました。
そんな雪乃の嬌態を冷ややかに見つめていたお母さまは帯に手挟んだ懐剣袋の房紐をスルスルと解いて懐剣を鞘ごと引き抜くと、おもむろに雪乃の硬直をピタピタと小突きながら、
「これはなんじゃ」
「・・・」
「早く言わぬか」
「雪乃のお〇〇〇〇でございます・・・」
恥ずかしさを堪えながらやっとそう口にしたのでございます。

「旦那さまのお褥でもそのように大きゆうなるのか」
「そ、そのようなこと・・・」
「ええい、どうなのじゃ」
「・・・はい」

「旦那さまは何と言われる」

「愛しいと・・・」

「それから」

「撫でたり扱いたり」

「それだけか」
「お口に含まれたり」
「なに、お口に・・・そ、それからどうした」
こんな問答をしているうちに雪乃は恥ずかしさも遠のき、
「吸われて、舌でなぶられたり,甘噛みされたり・・・」
「ええい、もう良いわ。このような無粋なものはこうしてくれるわ」
お母さまはそう言うとやおら懐剣を帯に直差しに納めると、代わりに懐剣袋を帯から引き抜き、なんとそれを雪乃の硬直に被せ始めたのでございます。
「ああっ」
思わぬ展開に雪乃は驚きの声を上げます。
懐剣袋の柔らかな羽二重の裏地が充血した皮膚を擦りながらぐいぐいと根元へ・・・
「ああ~ツ」
思いもしなかった甘美な刺激に雪乃は思わず嬌声を挙げ、身悶えたのでございます。
「ああ、お母さま、このようなこと、お赦しを・・・」
そう言いながらも、振袖をまとって己の怒張に懐剣袋を被せられるという異様な姿に、雪乃の心は被虐の悦びに溢れているのでございました。
やがて肉棒は根元まですっぽりと懐剣袋に覆われたのでございます。
ああ、雪乃の分身がきらびやかな懐剣袋に覆われて・・・雪乃は不思議な充足感に満たされたのでございました。
しかしお仕置きは更に続くのでございました。
お母さまは房紐をシュシュっと扱くとそれをしっかりと巻き付け始めたのでございます。
華やかな懐剣袋に納められた雪乃の分身がお母さまの手で長い房紐に巻かれてゆく・・・根元から先へ向かって緩みなくキリキリと・・・
それはお仕置きとは程遠く、むしろ至福のひと時というべきものでございました。ああ、この瞬間が永遠に・・・
「さあ、己の淫らな姿をその目でとくと確かめるがよい」
恍惚の境を彷徨っていた雪乃はそういうお母さまの声にふと我に返ったのでございます。

「いやっ」

思わず雪乃はそう叫ぶと目をそむけたのでございます。

いつの間にか目の前に姿見が置かれ、雪乃の恥ずかしい姿が目前に迫っていたのでございます。

怖いもの見たさに、恐る恐る再び姿見に目を移した刹那、雪乃の体の芯から疼くような快感がほとばしったのでございました。
ああ、なんということでございましょう。あでやかな引き振袖をまとって床柱に括り付けられながら、股間からきらびやかな懐剣袋に収められた肉棒を突き出している己の姿・・・

その異様な姿を目にしながら、懐剣袋の中の雪乃の男はますます硬直の度を増し、熱い血潮が脈打っていくのでございました。

うれしい・・・お母さま、雪乃は今幸せでございす。

「どうじゃ。少しは懲りたか」
房紐の先をきれいな花結びにするとお母さまはそう尋ねたのでございました。
「雪乃はうれしゅうございます」
「なに、うれしいと」
「雪乃のお〇〇〇〇がきれいな懐剣袋に納められて房紐でグルグル巻かれて、うれしい・・・」
「少しは慎むと思えば、お仕置きされてうれしいとは、困った淫乱娘じゃ。ええい、もう勝手にするがよい」
お母さまは呆れたようにそう言い放ち床柱に括り付けた細引きの縛めを解くと、雪乃をその場に残して奥へと引っ込んでしまったのでございます。
勝手にしろと言われても両手は後で縛められたまま。この姿で雪乃が行けるところはお義父さま所をおいて他にないのでございます。
この雪乃の姿を見てお義父さまはなんと仰るでしょう。
「また奥に悪戯をされたのか」
そう言って笑うお義父さまの姿が目に浮かぶのでございました。
お義父さま・・・雪乃は急にお義父さまが恋しくなったのでございます。
お母さまに折檻された後はなぜかお義父さまに抱かれて存分に女の悦びに悶えたい・・・そう思う雪乃なのでございました。
懐剣袋の中の雪乃の分身が再び力強く蘇るのを感じながら、雪乃はお義父さまのお寝間へと急ぎ歩を進めたのでございます。