雪乃幻想(10)

師走も間近というその日、吹き荒れた冷たい木枯らしもようやく治まって辺りに夜のしじまが漂うころ、広大なお屋敷の奥まった一室で今宵も雪乃はお床入りのお支度に余念がないのでございました。
白塗りの顔に真っ赤な紅が差され、柳のような眉が引かれるとお人形なようなお顔が出来上がりました。
縫取りの豪奢な半衿の緋のお襦袢の上には薄紫綸子のお引きずり振袖が着せられました。
「今宵は堅苦しいお文庫ではなくてこの帯にしましょうね」
お母さまはそう言いながら緞子の柔らか帯を前結びにしてくれたのでございました。

「今夜は大層冷えるからこれを羽織っていったら…」
そう言ってお母さまが着せてくれたのが綿入れお半纏でございます。


お母さまの娘時代の総疋田のお振袖を雪乃のために綿入れに仕立て直してくれたものでございます。
なめらかな綸子のお引きずりの上に羽織ったお袢纏のぬくもりがお母さまのやさしさにも似て雪乃は心安らぐのでございました。
「前帯と綿入れ半纏がよく合ってなかなか可愛いお寝間入り姿ね。今宵もお義父さまにたんと可愛がってもらうのですよ。でも、お褥に上がる前にはお袢纏は脱ぎなさいね」

そんなお母さまの声を背に、藤色綸子二枚重ねのお引きずりに綿入れお袢纏を重ねたお寝間の装いで、雪乃はお閨へと向かったのでございます。

 

それから小半時余りして…
雪乃はお義父さまのお褥に召され、女の悦びに浸って目くるめく時を迎えていたのでございます。
ああ、お母さまお許しください、雪乃はお母さまのお言いつけに背いておはんてん姿のままお褥へ…そして今お義父さまに抱かれて…はしたない雪乃をお赦しください。
雪乃がお袢纏を脱ごうしたらお義父さまがそのままでいいと無理やり…。
でも、うれしい…雪乃はお母さまのお振袖の半纏をまとってお義父さまに嫁いでいるの…雪乃は今お義父さまもの…
逞しいお義父さまが雪乃の中へ…雪乃の柔らかい襞はお義父さまをやさしく包み込んで…。

ああ、お義父さまが雪乃の中へ入ってくる…熱く逞しいお義父さまがずんずんと奥へ

圧倒的な力強さに雪乃は抗うすべもなくひたすら恭順してお義父さまをお迎えするのでございます。

熱くたぎったお義父さまが雪乃を奥深く貫いて…満ち足りた感覚がじんわりと広がると、やがて女にされた悦びがふつふつと湧き上がるのでございます。

ああ、雪乃はいま女…お義父さまの女…うれしい…。
二人は今しっかりと一つに繋がって、雪乃はお義父さま、お義父さまは雪乃…。

雪乃の奥深く侵したお義父さまは一旦返すと見せかけて再び奥深くへと…
「あああ~ッ」
とろけるような甘美な疼きが背筋を貫くのでございました。

 

・・・お母さま、雪乃の姿を見て…雪乃は今お母さまの旦那さまに抱かれて女にされているの…

開校以来の秀才と謳われ期待を一身に集めたお母さま自慢の息子は…赤い鹿の子のお寝間の衣裳をまとって義理の父親のお褥に召され…狂おしいほどの女の悦びにその身を焦がして…お母さま、これが雪乃の今の姿・・・

 

それからしばらくして雪乃はその夜幾度目かの絶頂へ昇り詰め、忘我の境地を彷徨っておりました。
「ああ~っ…いいっ…お義父さま…いい…いい…うれしい…雪乃は…お義父さまの…お義父さまの女…もっと女に…もっと女にして…ハア~ッ…ヒィ~…ヒイ~…ヒイ~…」
お義父さまの底知れぬ秘技に啼かされて、泣かされ続ける雪乃なのでございました。
「ああ、お義父さま…雪乃は…雪乃はお義父さまの…お義父さまのお子が…お子が欲しゅうございます…
ハア~ッ…ヒィ~…
雪乃は…お義父さまの子を産みます…ああ…うれしい…雪乃はお義父さまの子を産むの…
ああ~ッお義父さまッ…お種を、雪乃にお義父さまのお種を…ああ~、お義父さま、雪乃を…雪乃を孕まて・・・」
雪乃はあらぬ妄想を口走ることで更なる高みへと昇りつめ、狂乱の限りを尽くして泣き叫び、それから突然白目を剥いて全身を小刻みに震わせたかと思うと、やがてぐったりとなって人事不省に陥ったのでございます。