黒の掛け衿
先日取り上げた対丈の綿入れ振袖に黒の掛け衿を掛けてみた。
時代劇でよく見かける町娘や商家の女将さんなどが着物の衿に掛けているものだ。着物の衿は汚れやすいのでそれを防ぐためのものだから、基本的に普段着に付けるもので、晴着やよそ行きには付けない。
普通は黒繻子や黒八丈を用いるようだが、丁度ビロードの布があったのでそれにしてみた。
黒繻子は光沢があり、白っぽく見えることがあるが、ビロードは光を吸収して漆黒のようだ。
ベルベットタッチといわれるように絹とはまた違った独特の滑らかな手触りが心昂ぶらせる。
振袖は晴着なので黒い衿を掛けることはあまりないと思うが、時代劇で町娘などが黒繻子を掛けた振袖を着ているのを時折見かける。
あれは黒衿を掛けることによって奢侈禁止令を逃れるためと聞いたことがある。
この着物は自分としては普段着のつもりなので黒衿を掛けてもおかしくはないはずだ。
もともとこの着物はぼんやりとした色柄なので黒い衿がアクセントになってその対比が新鮮に感じる。
帯は昼夜帯をだらりに結ぶのがいいと思うが、半幅の博多帯ではちょっとちぐはぐな気がする。