初草履

いままで草履というものを履いたことがなかった。
女物の着物を着るのが好きだが、いくら好きだからといって着物を着たまま外へ出て行くわけにはいかない。出て行きたいのはやまやまだが相当の覚悟が必要だ。
着物を着ても家の中で過ごすだけだから草履など履く必要もなかったし、これからも履くことなどないと思っていた。
 
しかし人君子豹変す。一度その草履を履いてみたくなった。
草履というものはあまり気に留めたことはなかったが、よく見てみると見ると形がとても印象的だ。
踵からつま先にかけて緩やかな傾斜を伴った曲線がやさしく優雅な弧を描いている。両側から二本の鼻緒がすうっと伸びて前緒で結ばれている。
その優美なフォルムはなにやらエロティックでさえある。
二本の鼻緒の狭い空間に白足袋をするっと忍び込ませたらきっと一種の快感のようなものがあるのではないか、そんな気がした。
 
そこでいろいろ探してみたのだが、なかなか気に入ったものがなかった。
先日仕立てた大振袖を着るには踵が10センチ程度は欲しいのだが、そんなに高いものはなかなかないのだ。
ギャル向けというかあまり程度のよろしくないものならあるのだが…
背に腹は代えられず、取り敢えず手に入れてみた。
デザインも履き心地もちょっと不満が残るのだが、一つ望みがかなってやれやれというところだ。


 草履という履物は日本独特のものだが、着物姿に草履は実にぴったり合うものだ。


 





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