若紫のお引きずり振袖

長らく不順な天気をもたらしていた秋雨前線も消えて、ようやく本格的な秋がやって来たようだ。
昨日の朝、山荘のベランダの寒暖計はこの秋初めて10℃を下回った。
涼しいと言うより一気に寒さがやって来た感じで、季節の巡りの早さに驚かされる。
ともあれ、着物好きにとってはうれしい季節の到来だ。
 
裁縫を趣味にするようになってからあれこれ仕立ててきたが、せっかく仕立ててもあまり袖を通すことなく箪笥の肥やしになっている着物も結構ある。
反物の時はいいと思っても実際仕立ててみるとそれほどでもなかったとか、着たときの感じがいまいちしっくりしないとか、着物にも相性があるのだろうか。
一方このお引きずりの振袖は気に入ってよく着る方だ。
しなやかな紗綾形綸子の白生地が手に入ったので、それを若紫に染めてもらったものだ。
紫色はいにしえの宮廷人の憧れだったようで古今集在原業平のこんな歌がある。
   かすが野の若紫のすり衣
          しのぶのみだれ限り知られず
 
もっとも、この若紫は色の名前ではなく、紫草の若い根のことだという。それが時代を経るに従って若々しい紫色を指す色名になったようだ。
 
着物は無地なので帯は華やかなものがいいと思ったが、あえて銀無地の佐賀錦袋帯にしてみた。

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時期的には少々早いが綿入れのはんてんを羽織ってみた。

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おまけの画像。

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