豪商の女たち

豪商の女たち
職を引いてから朝に時間に余裕ができたので、家人に付き合って朝のドラマを見るようになった。
半年に一度新しいシリーズが始まるようだ。
この秋からは朝ドラには珍しく時代物が始まるらしい。時代物といっても幕末から大正にかけての頃の話で、大阪の豪商の家に生まれたヒロインの波乱万丈の物語のようだ。
先日何気なくインターネットを見ていたら一枚の写真に目が止まった。
 
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主人公の母親とその姉のようだが、昔の金持ちの女たちはいつもこんな格好をしていたのだろうな。
全員二枚襲のお引きずりで、娘たちは振袖だ。
お引きずりをまとった女たちが長い裾をズルズル引きずりながら、家の中をたおやかに行き来する。色鮮やかな友禅の長い袂が優雅に舞う。
昔着物大好きな自分としては夢のような光景である。
 
特に私が注目したのが、娘たちの着る引き振袖の袖口だ。
何と優雅な袖袘だろう。時代劇の着物の袘は太めに仕立てられているが、こんなに立派なのはあまり見たことがない。
袘フェチの私としては胸が高鳴った。

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それに太い丸ぐけの帯締めも昔らしくていい。
 
現代の和装は洋服の影響を受けてすっきりと洗練されてきた。基本的な形は変わっていないが、余計なものをそぎ落として鋭角的なシルエットを追求するあまり、着物本来のゆったりとした情緒的なものを置き去りにしている。
伝統的な着物といえども、時代と共にいきていかなければならなので一概に否定するつもりはないが、一抹の寂しさは禁じ得ない。
 
ともあれ、秋の放送開始を期待している。
そのころにはこの暑さも止み、冷涼な季節の中存分に絹の感触を楽しむことができるだろう。