振袖が普段着

今年は残暑らしい残暑もなく、秋の訪れは早いようだ。
このところ朝晩はだいぶ冷え込むようになってきた。
冷房しなくても普通に着物が着られるということは着物好きにとってうれしいことだ。
 
近頃は寛ぐときはいつもこんな格好をしている。

 
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男の振袖のところで記事にした対丈の振袖に角帯を締め、綿入れはんてんを羽織っている。
すっかり女の姿になって幅広の帯を胸高に締めて正装するのはもちろん最高の悦びだが、いろいろ手間もかかっておいそれとは簡単にいかない。
その点この格好だとあっという間に出来てしまう。
普段着感覚で振袖を楽しむことができる。
それに自分は着物を完璧に着こなすことにあまり執着していない。
着物には様々な決まりや約束事があるが、それにあまりとらわれるのはどうかと思う。
やさしい絹にくるまれてその滑らかな感触を堪能する…これが私の着物に対する思いだ。
 
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このはんてんはついこの前仕立て上がった。
振袖とはいえ対丈で着流しに男帯では少しさびしいので何かもう少し華やかなものが欲しかったのだ。
本当は羽織にしようかと思ったのだが、羽織はマチとか乳とかあって面倒そうなのではんてんにした。
それに雪国育ちの自分はこの時期になるとはんてんが恋しくなる。子供のころ北国では綿のたっぷり入ったはんてんはなくてはならないものだった。
 
滑らかな縮緬を華やかな友禅模様に染め上げた小紋の着尺が手元にあったのでそれを使ってみた。
袖が長いので身丈も長めにしたのだが、少し長すぎたかも。
ふきフェチなので袖ぶきは厚めにした。
二枚重ねの振袖の上にふんわり羽織ってみると、綿入独特のボリューム感が身体全体を包みこむ。
思わず子供のころの雪景色の情景が甦り、懐かしさがこみ上げてきた。

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このところ日が短くなってきたので、早めに仕事を切り上げゆったり風呂に入って一日の穢れを洗い流す。
少し火照った肌にまとうひんやりとした絹の感触。
その絹にくるまれながら、絹と戯れる至福のひと時の始まりだ。