赤無垢の振袖
普段の生活で赤い衣服を身に付けることは皆無だ。
過去を遡っても赤系統のシャツや服など着た記憶はない。
でも女着物となると話は別だ。
そんなに赤が好きならばいっそ赤ずくめにしてみようか。
赤無垢の振袖だ。
一見すると長襦袢のようだが、衽もついて一応着物の仕立てになっている。
表地はすべすべの紋綸子、八掛も共布の無双で胴裏も紅絹だ。
襦袢は勿論白い半襟を付けた真っ赤な綸子。
素肌にまとった羽二重のお腰も赤。
この着物、実は二枚襲の下着用なのだ。
でもこうして着てみると意外に具合がいい。
何と言ってもその肌触りが良くて、すべすべというよりはとろとろという感じだ。
真っ赤なとろとろの綸子の振袖にくるまれて私の心もとろとろになって桃源郷をさまよう。