赤無垢の振袖

普段の生活で赤い衣服を身に付けることは皆無だ。
過去を遡っても赤系統のシャツや服など着た記憶はない。
でも女着物となると話は別だ。
すべすべの緋綸子に真っ白な半襟を付けた長襦袢は幼い頃からの憧れの的だった。長年の夢がかなって初めてそれを手に入れて、身にまとった時の感激は今でも忘れない。
それから何十年、真っ赤な長襦袢に対する思いは変わらず、長襦袢といえばいつも赤を選んでしまう。
そんなに赤が好きならばいっそ赤ずくめにしてみようか。
赤無垢の振袖だ。
一見すると長襦袢のようだが、衽もついて一応着物の仕立てになっている。
表地はすべすべの紋綸子、八掛も共布の無双で胴裏も紅絹だ。
襦袢は勿論白い半襟を付けた真っ赤な綸子。
素肌にまとった羽二重のお腰も赤。
 
この着物、実は二枚襲の下着用なのだ。
でもこうして着てみると意外に具合がいい。
何と言ってもその肌触りが良くて、すべすべというよりはとろとろという感じだ。
真っ赤なとろとろの綸子の振袖にくるまれて私の心もとろとろになって桃源郷をさまよう。
 
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