鹿の子の振袖
鹿の子の襦袢の魅力に目覚めたのはかれこれ二年くらい前だろうか。
着物の下に着る長襦袢なので袖口や振りからチラッと見えるだけで他はほと
んど見えない。
なのに全体に手の込んだ絞り染めの絵羽模様が施されている。見えないとこ
ろになぜそれほどまで手を掛けるのか。
効率重視の現代ではほとんど見ることがなくなったが、手仕事が日常生活の
中に生きていた頃の証だ。
せっかくの美しい絞り模様を襦袢に閉じ込めておくのは惜しい。そこでこれ
までいろいろなものに縫い直してきた。
お引きずり襦袢(綿入れ)
引き振袖
打掛(綿入れ)
羽織(綿入れ)
こうして振り返ってみると綿入れが多いことに気が付く。綿入れフェチでも
ある自分としては仕方のないことか。
もう一つはもともと襦袢用なので生地が薄くて張りがなく、着物には少々頼
りないのだ。
中に綿を含ませることでボリュームがでて感触もよくなり、一石二鳥というわけだ。
何分の暑さなので帯結びは省いて、柔らか帯を前結びにした。
衣紋は思い切って大きめに抜いてみた。