大振袖お引きずり

予報では今年の夏は猛暑で残暑も厳しいとのことだった。
関東では七月は天気も良く暑い日が多かったが、八月に入るとどんよりとした曇り空が続き、その割には蒸し暑く、すっきりとした夏空はほとんど見られなかった。
九月に入ると残暑どころか一足飛びに秋がやってきたようだ。
日照不足や低温で農作物への影響が懸念されているが、自分などの着物好きにとっては朗報というべきか。
まさかこのまま秋へ突入という訳ではないだろうが、どうやら長く厳しい残暑は免れそうだ。
この山荘では二三日前の朝の気温が15度を下回った。
ちょっと前に新しい着物が縫い上ったのだが、暑くてなかなか着ることができなかった。
早く着てみたくてうずうずしていたのだが、この涼しさでようやくその願いがかなった。

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引き振袖といえば今では花嫁衣裳か舞妓さんのお座敷着くらいしか見ることができないが、お引きずり大好きの私にとって寂しいことだ。
もっと日常的に多いに着てほしいいものだが、そうはいっても何かと慌ただしい今の時代ではちょっと難しいか…。

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お引きずりの振袖は普通の振袖より袖丈が少し短めにできているようだ。
裾を長く引きずるのであまり袖が長いと、裾と干渉してバランスが良くないのだろう。

でも私は多少バランスが悪くても、ゆったりと長い袂のお引きずり振袖を着てみたいと思った。

以前床を掃くくらいの長い袖の大振袖をしたてことがあったが、その時の満足感が蘇ってそれと同じ長さにしてみたらどうかと思ったのだ。
実際に着てみると確かにちょっとバランスが悪いが、長い裾と長い袖の滑らかな絹に身体がくるまれる感じがなんとも心地よい。

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生地は本紋の綸子を躑躅(つつじ)色に染めてもらったものでとても滑らかな手触りだ。
裾回しも表と同じ生地の無双仕立てにしたうえ、身丈も相当長いので着尺二反分を使った。

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