振袖を縫う(1)

振袖や訪問着などの晴れ着は絵羽模様が多い。着物をキャンバスに見立て一枚の絵のように模様がつながっている。
反物状態でではその模様がわかりずづらいので、着物の売り場では仮絵羽にして衣桁などにかけて展示していることが多い。

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ふつうはそのまま呉服店などに仕立ても依頼するので、何日か後に仕立て上がったら取りに行くということになるが、自分で仕立てる場合はこの状態で購入することになる。














このままでは仕立てられないので、悉皆屋(しっかいや)に出して解き湯のしという作業をしてもらう。
解き湯のしとは仮絵羽状態の反物を解き、それをつなぎ合わせて一枚の反物に戻し、蒸気を当ててしわなどを伸ばしてもらうことだ。
悉皆屋から戻ってきときはこんな風に普通の反物のようになっている。

イメージ 2ふつう着物を仕立てるときはこの状態から裁断するわけだが、絵羽物はすでに裁断してあるのでミシンで仮止めしてあるのを外すだけでよい。








イメージ 4各パーツごとに裁断されたものがミシンで仮止めされて一枚の布ののようになっている。

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糸口を見つけて引っ張ると、面白いようにするすると糸が抜ける。ちょっとした快感だ。
 







イメージ 5糸を解いてパーツごとに分離して重ねたもの。
こんな状態にして仕立て準備完了だ。
 






ふつうは袖から縫い始めることが多いと思う。
袖を縫う前に袖のふきを作る。
袖ふきは普通は布を一枚入れて芯にする。今回は太ふきなので、綿を含ませる。

イメージ 6青梅綿を5センチくらいの幅に切ってくるくると巻いていく。









イメージ 7それを芯として10cm幅くらいの綿に包む。イメージ 8








袖口綿の出来上がり。










イメージ 9裏から袖口に含ませる。










イメージ 10表に返してしつけを掛けておく。
次に袖口の四つ留めをして袖縫いをする。
袖は表と裏を重ねて4枚一緒に縫うので針が通りにくく苦労するところだ。





イメージ 11袖ふきが出来た。










イメージ 12袖の出来上がり。
 









次に身頃を縫った。身頃は表と裏別々に縫ってから合わせる。

イメージ 13縫い終わった表身頃


 












次に表と裏を合わせて、裾をとじ、背縫いや脇縫いの縫い目をとじ合わせて、表と裏が動かないように止める。


イメージ 14出来上がった身頃
吊るしてみてバランスを見る。


























イメージ 15裾にも厚めの綿を入れてふきを作る。

















イメージ 16裾の褄先の形をつくのは難しく一番神経を使うところ。
左右二か所あるが、どういう訳か見えない下前の方がうまくできてしまう。