襞(ひだ)と皺(しわ)は皺襞(しゅうへき)という言葉もあるように似たもの同士にみえるが、実際は随分違うと思う。
襞はどちらかというと好ましい感じがするが皺はよくない印象がある。
美しい襞とはいうが、美しい皺とはあまり聞いたことがない。
家人などは目尻の皺を目の敵にしている。
 
着物を着た時に自然にできる襞は着物姿に優雅さと奥ゆかしさを醸し出す。
洋服においても昔から襞は美しさの重要な要素とされ、様々な工夫がなされてきたようだ。
しかし現代の洋服は実利性とシルエットの強調により襞を生かす余裕はあまりないようだ。
その点着物は平面的に仕立てられたものを立体的な人の身体に巻くように着るので、きれいな襞が生まれやすい。
この襞こそがたおやかで奥深い着物の魅力の原点になっているような
気がする。
すうっと伸びた振袖の長い袂の襞が、重なりあってゆったり揺れるさまは何とも優雅で愛らしい。
 
皺のよった着物は見苦しいが、自然にできた美しい襞は着物をより一層魅惑的にしてくれる。
そんな襞を身にまとう時、日本に生まれた幸せを思わずにはいられない。

イメージ 1